2024年衆議院議員総選挙と為替変動の行方:自民党政権維持か、立憲民主党政権奪取か?

2024年10月27日に予定されている衆議院議員総選挙では、現政権である自民党が裏金問題に揺れる中で政権を維持できるか、もしくは野党第一党の立憲民主党が政権を奪取するかがこれまで以上に注目されています。この選挙は、日本の政治的な方向性だけでなく、為替市場にも大きな影響を与える可能性が高く、特に両党の経済政策の違いが市場にどのように反映されるかが焦点となります。そこで今回は、自民党が政権を維持した場合と、現状では野党第一党である立憲民主党が政権を奪取した場合のシナリオに分けて、為替の動きを考察します。

1. 自民党が政権を維持した場合の為替動向

自民党の経済政策は「成長と分配の好循環」をスローガンとし、経済成長と財政健全化の両立を目指す政策を掲げています。以下のポイントが為替市場に影響を与えると考えられます。

1-1 デフレ脱却に向けた政策を総動員する

自民党は、岸田前政権を踏襲しデフレ脱却を目標にしているため、その達成に向けて以下の政策を掲げています。

物価高対応としての給付金支給

低所得者世帯への給付金支給は、消費者の購買力を支え、国内需要を下支えする政策ですが、為替市場への直接的な影響は限定的です。ただし、財政支出が増えることで円安傾向が強まる可能性があります。

地方交付金の拡充

農林水産業や中小企業への支援策が地方経済を活性化し、地方の経済成長を促進する一方で、こうした政策は財政支出を伴うため、財政赤字の拡大が懸念されます。これは長期的に円安要因となる可能性があります。

1-2 防衛力強化のための増税

法人税や所得税、たばこ税の増税が予定されており、特に年末に税制改正が行われる場合、市場は増税が経済成長を抑制する可能性を織り込むでしょう。増税による企業利益の減少は投資家にとってマイナス要因となるため、株式市場の低迷が円安に寄与することも考えられます。しかし、財政健全化を進めるというメッセージが市場に安心感を与える場合、円高要因となる可能性もあります。

総括

自民党が政権を維持した場合、デフレ脱却に向けた政策が継続されることで、通貨供給量が増加し円安が進む可能性があります。しかし、防衛費増税や財政健全化の施策が市場で好意的に受け止められれば、円高に反転することも予想されます。市場は増税の開始時期や内容に注目しており、年末の税制改正が一つの大きな転換点となるでしょう。

2. 立憲民主党が政権を奪取した場合の為替動向

立憲民主党は「分厚い中間層の復活」を掲げ、消費税や法人税、金融所得課税の改革を進める意向を示しています。こちらも為替市場に与える影響を考察します。

2-1 消費税の還付制度導入

低所得者層への消費税の一部還付は、所得格差の是正を目指した政策ですが、結果的に財政支出の増加に繋がるため、通貨供給量が増加し円安の要因となる可能性があります。ただし、消費を促進する効果があるものの、長期的な視点で消費が増えなければ、円安になったところですぐに円高に転じるでしょう。

2-2 金融所得課税の引き上げ

金融所得課税を現在の20%から25%に引き上げることが示唆されています。これにより、株式市場や資産運用に対する投資意欲が減少する可能性があり、外国人投資家の資本流出が懸念されます。この動きは短期的には円安要因となるでしょう。

2-3 法人税の引き上げ余地

立憲民主党は法人税の引き下げ競争が過度であったとし、法人税の引き上げを視野に入れています。法人税の増税は企業収益の圧迫要因となり、外国資本の投資意欲を減退させる可能性があります。この結果、資本流出が起こり円安に繋がる可能性があります。

2-4 所得税の累進化

所得税の累進化を進めるという立場は、中間層や低所得者層を優遇し格差是正を目指したものですが、増税による消費抑制や経済成長の鈍化が懸念されることもあり、短期的には市場がリスク回避に動くことが予想されます。これにより、円が一時的に買われ、円高になる可能性があります。

2-5 総括

立憲民主党が政権を奪取した場合、金融所得課税や法人税の増税は、外国資本の流出を引き起こし、円安が進む可能性が高いです。しかし、所得税の累進強化や消費税還付による中間層支援策が市場で好意的に受け止められれば、円高に転じる局面も考えられます。

3. まとめ:両党のシナリオに基づく為替市場の注目点

2024年の衆議院議員総選挙では、自民党が政権を維持するか、立憲民主党が政権を奪取するかが大きな焦点です。それぞれの政策が為替市場にどのように影響を与えるかは、投資家の予測や期待に大きく左右されます。

  • 自民党の場合、デフレ脱却や財政出動が円安要因となる一方、防衛費増税が市場で好意的に受け止められれば、円高に転じる可能性もあります。現状、中国と台湾の緊張が強まっている中で日本政府も防衛力強化を取り組み、自衛隊基地の拡充が進められています。私の地元、沖縄県からは反発の声がある一方で、国全体の利益と捉えるなら、好意的な見方をしても良いと感じています。
  • 立憲民主党の場合、金融所得課税や法人税の増税が短期的に円安を引き起こす一方で、中間層支援策が評価されれば円高に向かう可能性があります。政権与党として長らく経済政策を実施てきた自民党とは違い、短期的な効果(円安)はありそうですが、その効果も次第に薄れて行ってしまうのではないかと感じています。

市場は選挙結果に注目しており、選挙後の為替市場の動向を的確に読み解くことが、今後の投資戦略において重要なポイントとなるでしょう。

この記事の引用元:https://www.zakzak.co.jp/article/20241024-5PFCCJLZN5JWJJG2I5QHMPOVHI/

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